08年度会派視察報告
まちづくり調査報告書
1. 派遣目的 輪島市における都市ルネッサンス石川都心軸整備事業及び能登空港の活用
策について、並びに富山市における富山ライトレールについての調査を行う。
2. 派遣場所 石川県輪島市、富山県富山市
3. 派遣期間 平成21年2月16日から2月18日までの3日間
4. 派遣議員 小室正己議員、飯田正美議員、川崎篤之議員、玉造順一議員
5. 視察内容
(1) 輪島市
① 都市ルネッサンス石川都心軸整備事業について
○事業の目的
市街地の空洞化に歯止めをかけ、本来のにぎわい再生と市街地の活性化を図る目的で創設された事業である。
○事業概要
輪島市では、市の玄関口である輪島駅前から河井中央交差点までの河井町・横地線と朝市通りまでの市道を活性化軸と位置づけ、道路拡幅にともなう沿道まちなみの整備や核施設の整備、各種ソフト施策を展開することによって、魅力ある総合的な中心市街地活性化を進めている。
○事業の効果と課題
観光客減少、人口の流出、基幹産業の低迷等から、中心市街地機能が低下し、まちのにぎわいが薄れつつあったが回復傾向にある。建築物については、屋根や奥行きの確保、手の届きそうな軒先など輪島らしい構造を共通ルールにしているが十分でない所もある。
② 能登空港の活用策について
○能登空港
・平成15年7月、輪島市・能登町・穴水町にまたがる丘陵地に開港。
・現在、1日2便の全日空機が能登半島と首都圏を約1時間で結んでいる。
○能登空港の経営について
・石川県の第3セクター「能登空港ターミナルビル株式会社」(H12年6月設立)による運営。
・空港ターミナルビルの収支状況(H19年度)
経常利益 9,183千円
当期純利益 5,114千円
○輪島市への誘客効果
・輪島市への観光客は、S55年に2,701千人(宿泊概数523千人)がピーク。平成14年には1,188千人(同201千人)まで落ち込んだが、空港が開港した平成15年には、1,378千人(208千人)に回復。平成20年実績は、1,140千人(215千人)。
・市役所観光課内に「誘客推進プロジェクト室」を設置。大手旅行会社から人材を招聘し、その人脈、ノウハウ、感性を活用しながら、市場動向調査や旅行会社への独自提案などを行っている。
・外国人観光客に対応するため、市内観光施設に英語併記の案内看板設置や、英語・韓国語・台湾語での観光パンフレットを作成したほか、商工会議所および観光協会主催の外国語研修会を行った。
・輪島市民が能登空港から羽田空港までの往復空港券を購入した場合の助成金(3,000円)や、能登空港発着便を利用し市内に宿泊する5人以上の旅行企画に対する交付金(1,500円以内)を単市事業として行っている。
○空港開港による経済波及効果
・観光客の消費による経済効果のほか、「日本航空学園」(航空関連専門学校、生徒数839人、教職員数139人)開校による定住人口増加があった。
○課題
・開港当初期待された生鮮食材等の貨物取り扱いが低迷。市が造成した臨空産業団地23区画のうち、企業立地は2社にとどまっている。また、就航便の増便も自治体として要望しているが、航空会社の対応は厳しい現状にある。
(2)富山市
富山ライトレールについて
○ 事業の経緯
・富山市のまちづくりの基本方針
鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集積させることにより、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを実現
・公共交通活性化の基本方針(基本的考え方)
まちづくりの観点から必要なものについては、行政がコストを負担し、公共交通を活性化させる。
公共交通の活性化と沿線のまちづくりを一体的に行う
○ 富山ライトレールの整備
・平成18年2月末の廃止となったJR富山港線は、富山駅~岩瀬浜駅間の延長8.0kmの単線電化路線であった。JR富山港線の存続は多額の新幹線事業費となることから、バスへの転換も検討されたが、コンパクトなまちづくりのためにLRT化を選択
○ 路面電車整備の基本方針
市民アンケート結果も踏まえ
・利便性の高い公共交通ネットワークを構築する。
・あらゆる市民層に優しい交通機関とする。
・富山市の顔にふさわしい交通を実現する。
・公共交通サービスを安定的に供給できる運営体制とする。
を整備の基本とした。
○ 路面電車化事業の概要
・路線計画
道路敷内へ、1.1km新規に軌道を施設するとともに、6.5kmの旧JR富山港線軌道を活用し、全線7.6kmに600m間隔で駅を配置
・運行サービスの向上
LRT化に合わせて、運行本数を3.5倍に増加させるとともに、始発・終電時刻を改善
・施設のバリアフリー化
・樹脂固定軌道と芝生軌道の導入
・ICカードの導入
○ 沿線のまちづくり
まちづくり交付金を活用し、LRT化と併せて沿線の街づくりを一体的に推進
①駅アクセスの改善 ②駅周辺の住宅促進 ③魅力あるまちづくり促進
○ 運営会社の設立
・富山ライトレール株式会社の設立
設立 平成16年4月17日
資本金 498万円 (富山市33.1% 富山県16.1% 民間企業15社50.8%)
職員構成 30人 (富山地方鉄道出向24人 富山市退職派遣3人 会社採用3人)
○ 公設民営の考え方による費用負担
・運営費 約3億円/年
①事業に要した費用
人件費、電力費等 約2億円/年 施設の維持管理費 約1億円/年
②主体別の財源
運賃収入等 約2億円/年 富山市 約1億円/年
・建設費
①事業に要した費用
車両(約16億)軌道、駅、電気設備、車庫、本社屋等の整備 約58億円
②主体別の財源
富山市 約17億円・JR西日本協力金 10億円・富山県 9億円・国 22億円
○ 富山ライトレールの効果と評価
・富山ライトレールの利用者数
開業からH20年12月31日までの978日間で、約453万人が乗車
・事業の評価
開業後の市民アンケート結果(H18.6月末実施)
大変評価する 28% 評価する 61% 評価しない 11%
市民の約9割が評価すると回答
・国や学会等の評価
日本鉄道賞(国土交通省)、国際交通安全学会賞(財団法人国際交通安全学会)
バリアフリー優秀大賞(交通バリアフリー推進支援連絡協議会)、グッドデザイン賞(財団法人日本産業デザイン振興会)、経済産業大臣賞(財団法人日本サインデザイン協
会)、CSデザイン賞(株式会社中川ケミカル)バリアフリー化推進功労者表彰(内閣府)、ブルーリボン賞(鉄道友の会)
○ 最後に
LRTは、人と環境に優しく、経済性も備えるまちづくりのツールであり、制度的なLRT支援の枠組みも整いつつあり、中心市街地の活性化にもつながると考えられる。
しかし、富山ライトレールは旧JR富山港線廃止後の公共交通について検討がされ導入されたものであり、水戸市には同様の条件はない。またLRT導入には都市の再開発計画などまちづくりとセットでの検討が必要である。今後さらに研究を重ね、水戸市の公共交通対策、中心市街地活性化策に、LRTを活用できるか、そして導入の可能性について、検討して行く必要があると考える。
07年度会派視察報告
【鳥取・出雲方面視察】
まちづくり調査報告書
1 派遣目的 鳥取市における中心市街地のにぎわい拠点の整備事業及び市内情報格差解消に向けての取り組み並びに出雲市におけ
る新エネルギー推進事業及びアグリビジネススクールについての調査を行う。
2 派遣場所 鳥取県鳥取市,島根県出雲市
3 派遣期間 平成20年1月28日から1月30日までの3日間
4 派遣議員 小室正己議員,飯田正美議員,川﨑篤之議員,玉造順一議員
5 視察内容
(1) 鳥取市
Ⅰ.新鳥取市広域CATV網整備事業について
○事業の経緯
中国山地によりテレビ難聴地区が多く存在している鳥取県では、これまでCATVや共聴組合方式(鳥取市内に123組合)により難聴解消をしてきたが、2011年7月に地上波デジタル放送完全移行 することにより、共聴組合が新たな設備投資をしなければならないことから、鳥取市として既存のCATVを公設民営で整備することにした。整備目的は、地上波デジタル難視聴対策だけでなく、2004年に8町村を編入合併し、市域面積が3倍に拡大する中で、電子自治体構築により行政サービスを確保する視点、さらに高速インターネット環境整備を含めた市域内の情報格差を解消することを挙げている。
○ 事業概要
・ 事業費 3,980,428千円(H16~18年度)
うち 県補助金 137,254千円
起 債 3,546,700千円
一般財源 296,474千円
・ 経 緯
H4.6 鳥取市街地で民間CATV開局
H6.3 市議会中継開始
H12.7 市内農村部で民間CATV開局
H16.10 新鳥取市広域CATV網整備事業を債務負担行為計上(47億415百万円)
H18.4 新鳥取市エリアで二局開局
H19.3 整備事業完了(加入率86.7% 全体69・0%)
H19.6 2局とも自主放送のデジタル放送開始
○ 効果と課題
・ 市議会中継開始により、議員の質問が活発になり、議会の活性化に寄与。
・ 市民と議会、市政との距離が縮まり住民の参政意識昂揚につながる。
→放送開始当初、議会費による初期導入費用は約800万円
・ 市街地の地上波受信可能地域の未加入世帯が多く、今後の加入促進が課題。
・ ブロードバンドによる福祉や医療、防災、教育の分野でも重要な公的インフラとして利活用していきたい。
Ⅱ.「パレットとっとり」による中心市街地の賑わい再生について
パレットとっとりはTMO構想において、中心市街地活性化の重要拠点と位置づけられ、弥生町(市街地)の銀行跡地に建設された、市民交流機能と地域商業機能を併せ持った複合施設である。
・敷地面積1,728㎡ 延べ床面積2,526㎡ 鉄筋2階建て
・商業テナント12店849平米(食品スーパー・JA直売所・ベーカリー・飲食店・美容院・リラクゼーション・ネイルショップ・占い等) 駐車場13台 市民交流ホール388㎡
・市民交流ホールの運営は商工会議所に委託(専従職員2名体制)年間稼動数550件
平成10年度の中心市街地活性化基本計画において「中心市街地活性化の起爆剤としての拠点形成事業」として位置づけられたのち、鳥取市による「弥生にぎわい拠点整備構想」の策定や市民政策コメント等、設計や運営方針について幾度の検討を重ね、市民合意。15年度にとっとり本通り商店街を事業主体として、TMOがそれを支援する形で本格的に事業がスタート。
・当初構想 総事業費49億→15億 (区画整理の見直し、撤退、規模縮小)
・鳥取市の支援策としては①用地取得(5.5億)②土地の賃貸料については駐車場5年間無料、共
用部は無償、営利部のみ賃貸料徴収③利子補給④市民交流ホールの運営補助(10/10)⑤イベント補助(2/3)⑥固定資産税3年間免除
○事業の効果
・最寄品店舗や地場産品店を誘致することで中心市街地への来街動機、頻度、利便性が高まりつつある。年間利用者数は予定利用者数34万人に対し20%アップで推移。年間売上高は3.6億円見込みに対し9%アップで推移。
・付近の8地点で通行料が平日8%増、休日5%増。
○事業の課題
・特徴ある販促イベントで、テナントと商店街との更なる連携強化、継続的集客
・商店街の空き店舗対策により、商店街の魅力増進。コアとしての機能充実。
・回遊連鎖の要として、他の中心市街地交流拠点とのシナジー効果を高める。
・事業として一定の成果を挙げているチャレンジショップ事業との連動
(2) 出雲市
Ⅰ.出雲市新エネルギー推進事業について
○ 事業の経緯
平成17年7月に6市町(旧出雲市・旧平田市・旧大社町・旧佐田町・旧湖陵町・旧多伎町)合併後10年間の6つの基本政策で創られた総合振興計画『21世紀出雲のグランドデザイン』の取り組みとして、合併前にそれぞれの町村で実施していた新エネルギーならびに環境対策を踏襲するとともに合併後のスケールを生かし新たな取り組みを加え、出雲市の新エネルギー政策について
1. 地球温暖化防止に向けた市民意識の情勢
2. 出雲市の社会的認知度の向上
3. 新エネルギーをテーマとした誘客と、それに伴う経済への波及効果
4. 地元産業の多角化
5. 新エネルギー・水素関連企業の誘致と新産業の創出
を目的に取り組みが実施されている。
また、出雲市の特徴は、新エネルギーを産業振興部、環境対策を環境事業部と明確に分けて、事業を実施している。
○ 事業概要
1.新エネルギー
(1) 風力発電
① 新出雲風力発電所(日本最大規模の新出雲風力発電事業)
・事業規模 総出力 78,000KW (日本最大規模 3,000KW×26基)
・事業費 160億円(平成18年度着工、平成21年度運転開始)
② キララトゥーリキマ風力発電所(旧多伎町)
・ 事業規模 1,700KW (850KW×2基)
・ 建設年度 平成14年度 15年2月運転開始
(2) バイオマス燃料製造
出雲BDF製造プラント(旧平田市)
・ 事業規模 廃食油原料に製造能力400ℓ/日(製造実績23,000ℓ/年 平成16年)
・ コミュニティーバス燃料として利用
(3) バイオマス発電(水素製造)
出雲バイオマスエネルギープラント(旧平田市)
・ 事業規模 発電能力 47KW (原料木質バイオマス)
・ 事業総額 約2.5億円(総務省の交付金が1億円 環境と経済の町モデル事業)
・ 事業工程 平成16年度設計・機器製作 平成17年度機器製作・機器据付
平成18年度ガスエンジン据付
2.省エネルギー
(1) 廃棄物発電
出雲エネルギーセンター(旧出雲市)
・ 事業規模 総出力3,690KW (廃棄物発電)
・ 供給開始 平成16年4月
定置用燃料電池 (出雲地域市街地の一般家庭に2箇所)
・ 事業規模 1KW (LPガス改質)
・ 実施年度 平成18年度
・ (財)新エネルギー財団から450万円/基
3.その他
出雲市次世代エネルギーパーク整備計画案
現在、出雲市次世代エネルギーパーク整備計画ならびに出雲市地域省エネルギービジョンを策定中
<整備計画の目的>
・ 市民一人ひとりの環境やエネルギーに対する意識の向上
・ 新エネルギーの施設や設備を実際に見て、触れることによる普及啓発
・ 新エネルギー関連産業の発展による経済や産業振興
○ 効果と課題
・ 新エネルギーへの理解、環境意識の醸成、教育ならびに人材の育成に寄与
・ 新エネルギー関連産業の集積による産業振興、新産業、新規雇用の創出が期待される。
・ 新エネルギーによる観光客の誘客、観光関連産業の振興も期待される
・ 現在主力となっている化石燃料は枯渇する有限の資源であり、新エネルギーの開発は重要である。しかし、設備のコスト、発電効率、系統の安定など課題も多い。
・ 環境の問題もあり、新エネルギー開発は国際的にも課題になっている。地域、企業、行政が一体となって、新エネルギーの特性を生かし、分散型電源として活用していくことが重要である。
Ⅱ.出雲市アグリビジネススクールについて
平成18年度から出雲市では、アグリビジネススクール(アグリビジネス実践研究科・アグリビジネス科・就農チャレンジ科の3講座)を開校した。
これはこれまでの農業は、生産が中心で良い作物をたくさん作ることに重点が置かれていたが、今後は収益の上がる作物を選んで作るとか、付加価値を高めた販売方法をとるなど「儲かる農業」(アグリビジネス)を実践していくことが重要だという発想から始まったものとのことだ。
Iターンで新たに就農を希望する人、既に就農しているが更なる経営発展を目指している人など人材の育成を図っており。研修終了後のフォローも行っている。